今回はシルバー、黒ずみのおはなし。
どうも。今日もしがない、ネギです。
今回はシルバーアクセサリーの黒ずみの話。
よくシルバーが酸化して黒ずむ、なんて言いますよね。
でも実際はそれがどういうこうとか詳しくご存じでない方も多いと思いますので、今回はシルバーの黒ずみ・いぶしなんかについて解説します。
よく酸化、酸化って言いますけど、みなさん化学における酸化の定義なんて知らずに使っているだろうし、酸素がくっついてるのかなー、くらいに思っていると思います。
でも実は、酸素がくっついた銀って、黒くないんですよね。
化学式で書くと酸素と反応した銀はAg2Oですが、こいつ、白いです。
鋳造直後の銀の表面なんかにはこいつがついてますが、艶消しで真っ白です。
じゃあなんで銀は黒くなるのかというと、空気中にわずかにある硫黄分と反応しているからです。
化学式ではAg2Sと書く硫化銀は、黒色だからです。
ここで疑問に思った方もいるかもしれませんが、じゃあなんで酸化って言うのか?
実は化学では、広い意味では硫化も酸化に含まれます。
広い意味での酸化の定義だと、金属の銀から比べて、酸化数、という数字が増えれば、銀と何が反応しようが、まとめて「酸化」になります。
だから硫黄とくっついてるのに酸化なんて呼ぶ、紛らわしいことが起こるんですね。
まぁなので、硫黄分の多い温泉なんかに銀製品を付けたまま入ると、真っ黒くなります。これを利用して、表面を黒く加工するのが、いわゆるいぶし加工です。
それで、空気中にもわずかに硫黄は存在するので銀製品は徐々に黒くなるわけですが、全体が真っ黒な銀製品を身に着けたいって方は少数だと思います。銀は表面の高い反射率があってこそですし。なので、みなさんお手入れをされると思います。
ということで、お手入れ方法についても少し。
このお手入れですが、簡単に言ってしまうと、黒い皮膜を削り取るということです。
削り取るといってもごくごくわずかな量ですが。
手軽な方法から面倒なものまでありますが、おおよそ3つの方法に分類できます。
1.シルバークロスなどで磨く。
シルバークロスには微量の研磨材が含まれていて、表面をこすると研磨剤で黒い皮膜が削れて、ぴかぴかになります。削れるといってもミクロン単位です。
頑固な場合には本職の方などに依頼して、回転式の電気工具などで多めに削り取ります。
2.還元剤に漬ける。
これはいわゆる液体の研磨液なんかのことです。還元は酸化の反対語です。
これに漬けることによって、表面の黒ずみから硫黄が取れて、銀に戻ります。
が、その銀もイオンの状態で液に溶けだしたり、そもそもが黒ずんだことによって表面がもろくなっているので、元通りというよりは、表面を溶かすほうが近いです。
3.電解研磨
これは家庭では無理です。電気を流すことによって電気分解を起こし、表面を溶かします。表面の凸凹をなくすのに使われることがほとんどで、できるとは思いますが黒ずみを取るのに使うことはほぼないです。
つまり、一度黒くなったら、削るなり溶かすなりして、黒ずみを取り除くしかない、ということです。
なので使い込んだ銀はわずかに黒ずみが残ったり少し丸まったりして、使用感が出ます。その使用感が銀製品の魅力でもあります。
ここまでの話を理解して使用してあげることで、銀製品はより一層美しく、長持ちします。
例えば、使用しないときは空気に触れないようにすることで黒ずみを抑えることができます。
汗は体内の硫黄分を含み、なおかつ銀の表面をイオン化させて硫黄と反応しやすくするので、銀は汗がついたまま放置しないほうが無難です。
銀製品を丁寧に扱うことで生まれる輝きは、身に着けている人の品格を引き上げてくれます。
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